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業界を越えた活躍を実現するポータブルスキル

ポータブルスキル

ポータブルスキルの意味

「ポータブルスキル」とは「持ち運びできる能力」のことです。業種や職種が変わっても、新たな職場で引き続き活かせる能力で汎用性があります。対照的なのは「アンポータブルスキル」で、特定の企業・業界・職種でしか活かせない能力・技術・知識・経験等を指します。高い専門性を持ちます。

かつて終身雇用が一般的であった頃は、「アンポータブルスキル」が偏重され、「ポータブルスキル」という語は存在しませんでした。しかし、ポータブルスキルそのものは間違いなく存在し、活用されてきました。

もちろん、どこでも通用する人材になるには「ポータブルスキル」さえあれば十分というわけではありません。このスキルには「汎用性」はありますが、「万能」ではありませんし「トップ」に君臨するスキルでもありません。後程ご紹介しますが、ポータブルスキルをベースにした他のスキルも併せて身に着けることが大切です。

ポータブルスキルの必要性

我が国の雇用がしだいに「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」に変化していく中で、一社で職業人生を全うすることは、もはや現実的ではなくなっています。

誰もが再就職・転職を自分事として捉え、「業種や職種が変わっても通用する人材でありたい。」「新たな仕事ではこれまで以上に活躍したい。」という願望を抱いています。また、コンピテンシー重視の採用を考えている企業側にとっても「ポータブルスキル」を人材要件とすることは少なくありません。こうした事情から、近年「ポータブルスキル」への関心も高まってきているわけです。

ポータブルスキルは「仕事のし方」と「人とのかかわり方」からなる複合的な職業能力で、二つの要素それぞれも更に細かな要素から成り立っています。(厚生労働省 平成26年 ポータブルスキル活用研修資料)

また、「仕事のし方」と「人とのかかわり方」に加え「自分とのかかわり方」が含まれるとする考え方も一般的なもので、現在ではより細分化されてきています。

ちょっと、整理して纏めてみました。

ポータブルスキルの詳細

1.仕事のし方

目標達成のため、何に取り組んだら良いかに気付ける

ここでの目標とは、就職先の企業や配属先の部署が取り組む目標(課題)を指します。就職後は、日頃から、それを自分事として捉えておくことが大切です。そうすれば自分の置かれたポジションの中で、現状を把握し、課題点を見つけ、何を何時どのように実行すればよいかが次第に見えてくるかもしれません。

同時に、いくつかの留意点もあります。

留意点
  • 先入観やうわさ、他者の不平不満等に左右されるのではなく、客観的な視点から冷静慎重に社や部署の課題点を見極めることが必要です。
  • しばらく状況を観察しなければ見えてこないことも多いので、性急な決めつけは控えましょう。決めつけたがる自分を疑う、もう一人の自分を身に着けましょう。
  • 気づきは上司や同僚とのコミュニケーションの中から得られることが多いです。まずは社内の人間関係を構築するよう、他のスタッフを知り他のスタッフに知ってもらえるよう心掛けましょう。
  • 話さないことは気付かないこととは別です。気づいていても、あえて話さないことも多々あります。企業風土を把握するまでは、自らの気づきを疑う慎重さを持ちましょう。

目標達成のため、何に取り組んだら良いかに気付ける

今、置かれたポジションでは、部署内で他のスタッフを巻き込むような行動計画を策定することはできないかもしれません。その場合は、自分自身の行動計画にとどめておき、口外するタイミングには慎重になりましょう。

しかし、例え個人の行動計画であっても、関係機関・関係者・調整事項・前例の有無等はきちんと把握しておくことが大切です。それらを具体的に把握していないなら、プランではなく単なるビジョンになってしまいます。

実行に移すことができる

指示を受けていないのであれば、自分の分を越えて動くことや勝手に他のスタッフを巻き込むことはトラブルになりかねません。しかし、チャンスは思わぬ場面でやって来るものです。ミーティングの際に意見を求められたり、プレゼンテーションを任されたりすることがあり得ます。そのような時にこそ、普段から準備してきたことを伝えることができます。

留意点は以下です。

留意点
  • あくまでも、社員・部署の一員としての目線から、得た気づきや、温めている行動計画、また実行時に想定されることやその対処方法等を伝える。
  • 簡潔に明瞭に平易な表現で伝える。
  • 敢えて総ては伝えず、「もっと知りたい」「もっと聞きたい」という気持ちを引き起こすようなボリュームに留める。勢いに任せて言い尽くしてしまわない。

2.人とのかかわり方

同じ職場の仲間を気遣える

経営層・上司・関係部署との関係で納得してもらえるような意思の疎通を心掛ける。そのようにして、利害調整・合意形成を目指す。

社外の方々に適切な対応ができる

お客様・社外パートナーとの間で納得してもらえるような意思の疎通を心掛ける。そのようにして、社外の人々の支持を得る。

自分の下で働く社員をきちんと管理できる

メンバーへの動機付けや育成を目指し、各自の持ち味を生かした業務の割り当てができる。

社内、社外、上司、部下…、私たちは、働きながらいろんな人とかかわりますが、人とのかかわり方の基本としてご紹介できる本があります。著名なカウンセラー、国分康孝の著書「カウンセリングマインド」です。興味深い一節がありますので、以下に記します。

ぼくの本職は教師である。しかし教師という意識で教壇には立たない。カウンセリング・サイコロジストが教師をしている。そういう意識で授業をしている。というのは教師というアイデンティティは定年とともに消滅してしまうが、カウンセリング・サイコロジストという自覚は死ぬまで奪われることはないからである。

カウンセリング・マインド p187 授業の中のカウンセリング・マインド

部下、上司、社員、顧客…、私たちは誰もが複数の「役割」を担いながら働いていますし、生活を営んでいます。しかしどんな社会的役割を担うとしても、「カウンセリングマインド」を実践する隣人という、普遍的なアイデンティティも存在するのです。これは生涯に渡り担い続けることのできるアイデンティティで、多様な人間関係を円滑なものとする秘訣です。人とのかかわり方を使い分けるよりもシンプルですし、何よりも実践する当人の自尊心を高めてくれます。

私事ですが、私自身も、ITインストラクター、ITコンサルタント、キャリアコンサルタント等の役割を担いながらも常に「カウンセリングマインドを実践する隣人」というアイデンティティを大切に持ち続けてきました。「カウンセリングマインド」、この記事では詳しくは取り上げませんが、ご興味が湧いたらどうぞググってくださいね。

3.自分とのかかわり方

自己対応力を発揮する

自己対応力を発揮するとは、具体的には次の3つの力を発揮することを指します。

  • 決断力 課題の把握や分析によって得た情報に基づき、スピーディな意思決定を下せる
  • 冒険力 チャレンジ精神 新しいイノベーションを生み出す原動力を発揮できる
  • 持続力 目標達成まで努力を継続できる

ねばならないからの脱却

サービス一覧ページの「時代に適した仕事観」でもご紹介しましたが、「イラショナルビリーフ」という語があります。これは、「目標達成を妨げる考え方」、「人生の事実に即していない考え方」、「論理性の乏しい考え方」、「柔軟性のない断定的な考え方」であり、自己対応力の強化を妨げる方向に働きます。

また、不測の事態下での決断を妨げたり、挑戦する気概を失わせたり、粘り強さを奪ってしまいます。トップページのVUCAでも紹介していますが、今は曖昧性の高い時代で、この時代に対応するためには思考にも柔軟性が不可欠です。

もし、「ねばならない」「であるべき」「であるはず」が折々に浮上してくるなら、また、長年慣れ親しんだやり方に固執してしまいがちな自分に気付いているなら、その自分と正面から向き合ってみる必要があります。それが自己対応力強化の第一歩だからです。

ポータブルスキルについての自己理解

「仕事のし方」と「人とのかかわり方」そして「自分とのかかわり方」からなる「ポータブルスキル」ですが、もちろん、あなたもお持ちのはずです。それは間違いありません。では、それを言語化・文章化できますか?

実は、このスキルはレベルの差はあるものの、すでに誰もが持っており日々活用しながら働いています。しかし、それを自己理解し、客観的に言語化・文章化するスキルはなかなか習得できるものではありません。

もしあなたが今、外部労働市場に身を置き、次の就職先を探しているのであれば、また具体的な応募先を見つけて応募書類を作成しているのであれば、更には書類選考を通過し面接に進もうとしているのでれば、ポータブルスキルについての自己理解を得、文章化・言語化できるよう準備しておくことは、とても大切です。

私たちは、自分が理解できていないことを、他人に理解させることはできないからです。また、理解することと理解させることは、全くの別物だからです。それで、まずは自分のポータブルスキルについて理解し、次にその理解を言語化・文章化する力を身につけ、その力を徐々に磨いていくことが大切です。

オリジナーレの自己理解支援

これまで、外部部労働市場に身を置く大勢の方々への就職支援に従事しながら、私が常に意識してきたのは、その方自身の「軸」についてご一緒に再考するかかわり方です。諸事情故、詳しい記述は控えさせていただきますが、3つの軸について、傾聴しながら気付きを得ていただき、自己理解を促進していきます。その後、言語化・文章化するスキルの習得を目指します。

自分軸

自分自身について、客観的に語ることができるでしょうか?つまり自分についての客観的な視点を有していますか?

内省を促すカウンセリングによって、ポータブルスキルの度合いや今後の目標を明確化します。

社会軸

仕事を通して社会とどのように関わってきたか、今後、どのように関わっていきたいかを明快に語ることができますか?

実社会におけるこれまでの立ち位置、現在の立ち位置、今後目指す立ち位置をご一緒に整理していきます。

コト軸

これまでの業務・職務・趣味やライフワークでなにをどのように果たしてきましたか?今後はどのようなコトを目指していきたいですか?

モノよりもコトを重視する社会機運にあわせたライフプランをご一緒に検討します。

三つの軸についての明確な自己理解を得ることと、それを言語化・文章化できるようになること。また、その手段としてのITスキルを身につけること。私たちは、そのために、キャリアコンサルティングとITトレーニングをセットにしたトレーニングを実施してまいりましたが、このトレーニングを受講した方々の多くが、異業種への転職後、持ち前の「ポータブルスキル」と共に新たに習得した「テクニカルスキル」をも活かし、新たな業界での成功を収めてこられました。

ポータブルスキルの上位スキル

ポータブルスキルをベースとして、その上に積み上げていけるスキルがあります。それが…

1.ITリテラシー

2.テクニカルスキル

これら二つです。別の記事にまとめましたので、宜しければどうぞご覧ください。

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