身体言語と準言語
身体言語
誰かの話に「共感」しながら聴き入っているとき、自ずと出てくるのが身体言語です。身体言語とは「姿勢」、「態度」、「表情」、「まなざし」「うなづき」などのことで、言葉以上のメッセージを相手に送ります。
トップ画像をご覧ください。右側に座る聴き手は、椅子に浅く腰かけ、前傾姿勢で話し手と向き合っています。机の上にはパソコンも筆記用具もありません。
体験した出来事が原因で「会社に行くのが辛い」と語る話し手に、しっかり視線を送っています。話し手と、語られるつらい出来事にじっくり向き合い、深い関心を寄せている様子が伺えます。
準言語
準言語という別要素もあります。「話し方」のことです。「何を話すか」ではなく「どのように話すか」、具体的には「どんな口調で話すか」「どんな態度表情で話すか」「どんな間を入れるか」等々。
画像右側の聴き手の場合、敬意を込めながら静かにこう尋ねました。
「そうだったんですね。・・・・・・。〇〇さんが、会社に行くのが辛いとお感じになる時、 〇〇さんの中にはどんな思いがあるのでしょうか? ・・・・・・。話せそうですか?」
問題の渦中で話し手が味わっている内的体験への、敬意を込めた穏やかな質問、この質問は話し手の内省を優しく促し、話し合いは深みを増していきます。この辺りから、聴き手が発言する機会は次第に増えていきます。
声、態度、様子を聴く
声を聴く
話を聴くときには「声」も聴くよう意識しましょう。「声」が話の内容と調和するか矛盾するか、その度合いは如何程か、話し手が自分の外的体験を内的にどう解釈しているかを知るヒントになります。
別のケースで考えてみましょう。
私、仕事辞めました。
辛そうな声で話すのと、吹っ切れたような声で話すのでは、事情が異なるのは明白です。話し手自身にとって離職の意味が違うのです。
態度、様子を聴く
そのような場面では、話し手の態度や様子にも注目しましょう。声、態度、様子が三拍子揃っているか、食い違っているかは、外的体験と内的体験の一致もしくは矛盾の有無、またそれぞれの度合いを教えてくれます。
もし、吹っ切れた声・態度・様子が三拍子そろっているなら、こう尋ねてみます。
仕事を辞めましたという今のお言葉やご様子からは、〇〇さん、何か吹っ切れた感じもするんですが、・・・・・。どうなんでしょう?
只、現実の場面では、そこまで明確に三拍子そろうことはまれです。むしろ、声と態度は吹っ切れた感じでも、その様子からは、ちょっと無理してる感じが伝わって来ることもあります。そんな時には、
仕事を辞めましたという今のお言葉やご様子からは、〇〇さん何だか、吹っ切って先に進まなければ…という感じが伝わって来るんですが、・・・・・。どうなんでしょう?
こうした応答が、話し合いの深みを増すきっかけになることが多いです。
話を聴くとき、その内容と共に「声」「態度」「様子」をも注意深く聴くと、聴き手のありきたりな予想を覆す、事の真相が明らかになることが多々あります。つくづく人の話は「無知の姿勢」でお聴きするものだと感じます。
話し手・聴き手の
持つチャンネル数
話し手のチャンネル数
話し手の持つチャンネルは「話の内容」だけではありません。「声」「表情」「姿勢」「視線」「話し方」「挙動」「態度」等、様々なチャンネルから様々な情報が発信されています。
その情報の一致と食い違いに大きな意味があるのです。聴く側は適宜チャンネルを切り替えながら、全身全霊で聴かねばなりません。
聴き手のチャンネル数
同様に聴き手の持つチャンネルも様々です。「声」「表情」「姿勢」「視線」「話し方」「挙動」「態度」等から、話し手の何に関心を持ち何に無関心かメッセージを発信しています。
そして、話し手は、話しながらも聴き手からのメッセージを敏感にキャッチしています。
聴き手の応答が
目指すもの
聴き手として何を目指して話を聴いたら良いのでしょうか?抱えている悩みや問題の解決に役立つアドバイスが出来ればそれに越したことはありません。しかし、自分の持ち駒では到底対応できないと感じることも少なからずあります。
そんな時に役立つ情報を、次の投稿でまとめてみたいと思います。